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広島高等裁判所 昭和61年(行コ)5号 判決 1991年4月10日

広島県竹原市忠海町五二〇七番地

控訴人

吉田松右衛門

右訴訟代理人弁護士

椎木緑司

広島県竹原市竹原町一五四八番地の一七

被控訴人

竹原税務署長 白川續

右指定代理人

大西嘉彦

大谷庸介

豊田耕輔

中岡肇

大里裕

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が昭和四七年一一月一一日控訴人に対してなした昭和四五年分所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分はこれを取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二当事者の主張

次のとおり付加、訂正する外は、原判決事実摘示(但し、原判決四枚目表一行目の「忠海駅」の前に「国鉄(現JR)」を加える。)と同一であるから、これを引用する。

一  当審における控訴人の主張

(原審の主張の補充)

田畑きとは、約五年間の食堂経営の実績を経て、自ら万博協会に広島更科の出店契約を申し入れたものであり、妹婿である控訴人を総支配人に、吉田松樹及び吉田基を副支配人に、実子の村田初子を手伝人に任じ、多数のアルバイトを雇用して、右店舗の経営に当たったものである。

近代的な経営者は、事業の実効を挙げるため、専門家や活動力のあるスタッフを雇い入れるのが一般であり、これらの者によって実際的な経営が行われても、経営者の地位が変動するものではない。

その意味から、広島更科の経営権者は、あくまでも万博協会との間で出店契約を締結した田畑きとであり、控訴人が同人のための代理行為や右店舗の仕入、販売等の営業行為を行ったとしても、それらは総支配人としての行為に過ぎない。

(自白の撤回)

原審の第二回口頭弁論調書には、控訴人の原審訴訟代理人が「本件においては、所得の帰属のみを争うものであって、その金額については争わない」と陳述した旨の記載があるが、控訴人は原審において、本件更正処分等の基礎になった広島更科の事業所得金額(以下「本件事業所得金額」という。)について被控訴人主張金額を認めたことはない。

すなわち、控訴人は、本件更正処分等がなされた当初から、広島更科の事業所得の帰属主体と事業所得金額の両者を強く争ってきたものであり、控訴人の原審訴訟代理人も、原審において、右両者を共に争う旨主張していたもので、後者について突如争わない態度に出るのは極めて不自然といわなければならない。

右経過からすると、控訴人の原審訴訟代理人は、原審裁判所の訴訟指揮により、右事業所得の帰属主体の問題を先行審理し、その後に本件事業所得金額の問題を審理することに同意したものであって、右同意をしたことが、本件事業所得金額については争わないと述べたように誤って理解され、前記の調書上の記載になったものと思われる。したがって、広島更科の事業所得金額については自白は成立していない。

仮に、控訴人が原審の第二回口頭弁論期日において前記陳述をなし、これが本件事業所得金額についての自白に該当するとしても、右自白は真実に反し、かつ、錯誤に出たものであるから、当審の第六回口頭弁論期日において、撤回する旨の意思表示をした。

すなわち、被控訴人は、本件事業所得金額について、仕入価額を捕捉したうえ、売上高を検討し、右売上高から所得額を推計したと主張しているが、被控訴人が算定の基礎とした売上品目の中には広島更科が第三者に委託して販売したものが含まれ、仕入品の中には腐敗したり、盗難にあったものもあり、また、必要経費の認定に当たり接待費用等の支出を落としているなど、被控訴人の本件事業所得金額の推計は、真実に反するものである。

そもそも、裁判上の自白の撤回が原則として許されないのは、右自白の効果を期待した相手方の保護にあると解されるところ、本件は、その相手方が強力な調査権限と保管能力を持った税務署長であり、真実発見を旨とする税務訴訟の制度的要請からも、自白の撤回は自由に許されてよく、少なくとも、真実に反することの証明があれば自白の撤回が許されると解されるべきである。

また、何人も真実に反する事実を、事実の誤認なくして主張する筈がなく、自白された事実が真実でないとの証明がある場合には、特段の事情がない限り、錯誤に出たものと推定すべきであり(最高裁判所昭和二五年七月一一日判決民集四巻七号三一六頁等参照)、本件においては、控訴人が真実に反する本件事業所得金額を自白するについての特段の事情は見当たらない。

二  当審における被控訴人の主張

(控訴人の補充主張について)

争う。

広島更科の事業所得の帰属者については、原審における被控訴人の主張のとおり、その経営実体、事業利益の享受主体等からして、田畑きとではなく、控訴人であることは明白である。

(自白の撤回について)

控訴人の原審第二回口頭弁論期日における「本件においては、所得の帰属のみを争うものであって、その金額については争わない」との陳述は、本件事業所得金額を争わないと明言したものであり、裁判上の自白に当たることは明白である。

被控訴人は、控訴人の右自白の撤回には異議がある。

控訴人は、右自白につき、真実に反し、かつ、錯誤に出たものである旨主張するが、右自白のなされた経緯からして錯誤の生じる余地は全く無い。

すなわち、控訴人は、原審第一回口頭弁論で陳述した昭和五六年一一月三〇日付準備書面において、「仮に控訴人が広島更科の事業所得の帰属者であるとしても、原処分に係る事業所得金額は重大な事業誤認に基づくものである。」と、本件事業所得金額を争う旨の主張をしていたのに対し、被控訴人は、昭和五七年二月一九日付答弁書で「本件事業所得金額の適法については、控訴人の具体的主張をまって、必要に応じて主張する。」旨答弁した。ところが、その後、第二回口頭弁論期日において、被控訴人が「本件事業所得金額は、広島更科の仕入額を捕捉し、それを基に売上高を推計し、右売上高より所得を推計計算した。」旨主張したところ、控訴人の原審訴訟代理人弁護士は、前期日での主張を撤回したうえ、前記のとおり、本件事業所得金額については争わない旨陳述するに至ったものである。

しかも、右自白は、本件訴訟における審理の冒頭段階で争点整理のため訴訟代理人弁護士によりなされ、その後の五年以上にわたる原審での証拠調べも右自白によって明確になった争点を対象に行われてきたものであり、当審において、一旦撤回された争点を再び持ち出すことは、単に訴訟の著しい遅滞を招くに止まらず、訴訟当事者としての信義則に反するものであり、許されない。

なお、控訴人は、税務訴訟においては、自白の撤回は自由に許されてよく、少なくとも、自白事実の反真実を証明させれば十分である旨主張するが、行政訴訟においても、通常の民事訴訟と同様に裁判上の自白の適用があり(行政事件訴訟法七条)、自白をなした当事者において、真実に反し、かつ、錯誤に出たことを証明した場合に限り、撤回が許されるものである。

本件においては、前述のとおり、控訴人の前記自白は錯誤に基づきなされたものではないから、その撤回は許されないものである。

第三証拠

証拠関係は、原審及び当審記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、原判決と同様、控訴人の請求を棄却すべきものと判断するが、その理由は、次に付加、訂正する外は、原判決理由説示(同一〇枚目表一〇行目冒頭から同二三枚目表八行目末尾まで)と同一であるから、これを引用する。

原判決一一枚目表四行目の「忠海駅」の前に「国鉄」を加える。

同一三枚目表五行目の「三号証」の前に「第」を加える。

同一三枚目裏六行目の「協力金等を」の次に「広島更科の」を加える。

同一四枚目表五行目の「万博協会に」の次に「田畑きと名義で」を加え、同七行目の「日本全国」を「東京、大阪など全国各地」と改める。

同一四枚目裏六行目の「のせや製麺」を「「のせや製麺」」と改める。

同一五枚目表八行目の「原告が」の次に「全て」を加える。

同一五枚目表八行目の次に、改行して、次のとおり加える。「当審における証人吉田松樹及び同吉田基の各証言中、右認定に反する部分は前掲各証拠に照らしてにわかに措置し難く、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。」

同一五枚目裏二行目の「手伝は」の次に「ほとんど」を加える。

同一五枚目裏一〇行目の「証人田畑きとの証言」の次に「並びに当審における承認吉田松樹、同吉田基の各証言及び控訴人本人尋問(第二回)の結果」を、同末行の「信用できず」の前に「前掲各証拠に照らして」を、それぞれ加える。

同一六枚目裏二行目の次に、改行して、次のとおり加える。「なお、原審における証人田畑きとの証言及び当審における控訴人尋問(第二回)の結果によれば、万博終了後、広島更科の会計帳簿類や什器備品は、全て控訴人の指示のもとに控訴人方に運び込まれ、田畑きとは、これらに一切関与していないことが認められる。」

同一七枚目裏末行から同一八枚目表一行目にかけての「甲第一三号証、」を削除し、同一八枚目表二行目の「甲第八ないし第一二号証」の次に「(田畑きとを広島更科の経営代表者とする挨拶状などの書面)」を加え、同三行目から同四行目にかけての「認められない」を「認められず、甲第一三号証(控訴人を広島更科の支配人とする昭和五六年一月三日付の村田初子の証明書)も、甲第一号証と同様に本件訴訟用に作成された疑いが濃厚で信ぴょう性に乏しいといわざるをえない」と改める。

同一八枚目表四行目の次に、改行して、次のとおり加える。「なお、控訴人は、近代的な経営者が事業の実効を挙げるため専門家や活動力のあるスタッフを雇い入れるのが一般であり、これらの者によって実際的な経営が行われても経営者の地位が変動するものではなく、その意味から、広島更科の経営者は、あくまでも出店契約を締結した田畑きとである旨主張するが、前認定の事実からすれば、広島更科における田畑きとの立場は、表向きの名義を貸しただけで、到底、経営者と認められるものではなく、一方、控訴人は、その具体的活動内容からして、経営を委任された支配人としての立場を遙かに超えた実質的経営者と認められるものであって、右主張は採用できない。」

同一九枚目表六行目の「原告」を「田畑きと名義」と改め、同七行目の「入金された上、」の次に「翌一三日出金となり、同日」を加える。

同一九枚目表九行目の「解約時の残金」の次に「三万八五六五円」を、同一〇行目から末行にかけての「当座預金に」の次に「そのまま」を、それぞれ加える。

同一九枚目裏二行目の「田畑きと」の前に「他方、」を加え、同四行目の「ものである」を「と認められる」と改める。

同一九枚目裏一〇行目の「田畑きと」の次に「名義」を加える。

同二〇枚目表六行目の「解約時の残金」の次に「六万二二五〇円」を、同七行目の「普通預金口座に」の次に「そのまま」を、それぞれ加える。

同二〇枚目表末行の「する」の次に「ものと認められる」を加える。

同二二枚目表七行目の「原告が」から同八行目の「原告に対し」までを「当初は原告を広島更科の共同経営者として課税通知をしていたが、その後の調査により田畑きとが営業主であることが判明したとして、同人に対し」と改める。

二  ところで、控訴人は、当審において、原審での本件事業所得金額についての自白は成立しておらず、仮に自白が成立しているとしても、真実に反し、かつ、錯誤に出たものである旨主張し、第六回口頭弁論期日で右自白を撤回する旨の意思表示をしたのに対し、被控訴人は右自白の撤回に異議がある旨申し立てた(右自白の撤回の意思表示と、これに対する異議の申立てのあったことは、本件記録上明らかである。)。

そこで、右自白の成否及びその撤回の許否について、検討するに、当審における控訴人本人尋問(第一回)の結果(但し、後期信用しない部分を除く)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

1  控訴人は、昭和五六年一〇月九日、原審の広島地方裁判所に本件訴訟を提起したが、その際提出された控訴人本人作成の訴状では、同年六月二三日付の国税不服審判所長による裁決の内容に全部不服があり、追って弁護士、税理士を依頼して書面を提出する旨主張していたこと。

2  控訴人は、同年一二月一日、広島弁護士会所属の中場嘉久二弁護士(医科「中場弁護士」という。)を本件訴訟代理人に選任する委任状を原審裁判所に提出し、昭和五七年二月二五日の原審第一回口頭弁論期日において、中場弁護士は、前記訴状を補充する趣旨の昭和五六年一一月三〇日付準備書面に基づき、広島更科の事業所得の帰属者が田畑きとである旨の詳細な主張をするとともに、「仮に控訴人が右事業所得の帰属者であるとしても、本件事業所得金額は重大な事実を誤認して計算されており、精査のうえ、追って具体的項目につき主張する」旨陳述していたこと。

3  一方、被控訴人は、原審第一回口頭弁論期日において、昭和五七年二月一九日付の答弁書に基づき、広島更科の事業所得の帰属者が控訴人であることの詳細な主張をするとともに、本件事業所得金額については、その適法であることを控訴人の具体的主張をまって主張する旨述べていたこと。

4  ところが、その後、控訴人側からは、本件事業所得金額の事実誤認についての具体的主張は何らなされず、昭和五七年六月三日の原審第二回口頭弁論期日において、裁判所からの釈明に基づき、被控訴人が本件事業所得金額について、「控訴人の仕入価額を捕捉し、それを基に売上げを推計し、その売上げにより所得額を推定計算したものである」旨陳述したところ、控訴人の原審訴訟代理人である中場弁護士は、「控訴人は、本件においては所得の帰属のみを争うものであって、その金額については争わない」旨陳述し、その旨弁論調書に記載されたこと。

5  しかして、その後、原審においては、広島更科の事業所得の帰属者を争点として審理が続けられ、昭和六一年六月五日の第一五回口頭弁論期日において、当事者双方が他に主張、立証はないと述べて弁論終結となっているが、この四年余りの訴訟審理期間中、控訴人側から、予測的にせよ、本件事業所得金額を争う趣旨の具体的主張、立証は一切なされないまま弁論終結となっていること。

6  なお、控訴人は、本件訴訟の遂行を中場弁護士に委任した後、同弁護士とは事件の進行について打合せを行っており、原審での審理期間中、法廷傍聴もしていること。

7  しかるところ、控訴人は、当審において、当初は中場弁護士を訴訟代理人に選任していたが、昭和六二年六月三日、同弁護士が辞任した後、同年一〇月七日、本件訴訟代理人の椎木緑司弁護士を選任し、同代理人は、昭和六三年四月一八日の当審第六回口頭弁論期日で陳述された準備書面において、原審での本件事業所得についての自白の成立を否定するとともに、右自白が成立する場合にはこれを撤回する旨主張するに至ったこと。

右認定事実によれば、控訴人の訴訟代理人である中場弁護士は、原審第二回口頭弁論期日において、「控訴人は、本件においては所得の帰属のみを争うものであって、その金額については争わない」旨陳述しており、右陳述の内容や陳述に至る経緯、さらには法律専門家である弁護士により陳述されたものであることに鑑みると、右陳述は、被控訴人側に立証責任がある本件事業所得金額について、控訴人はこれを争わない趣旨でなされたものであり、右金額についての裁判上の自白が成立していることは明らかである。

この点について、控訴人は、原審裁判所の訴訟指揮により、事業所得の帰属の問題を先行審理し、その後に本件事業所得金額の問題を審理することに同意したことが、本件事業所得金額については争わないと述べたように誤って理解され、前記調書上の記載になった旨主張するが、前認定の原審における訴訟審理の経過、すなわち、右陳述後、本件事業所得金額について具体的主張、立証が一切なされないまま弁論終結となっている事実に照らしても、右主張は首肯することができない。

次に、控訴人の当審における右自白の撤回が許されるか否かを検討するに、いわゆる弁論主義が適用される民 民事訴訟手続においては、裁判上の自白(相手方の主張する自己に不利益な事実を認める陳述)がなされた場合、相手方も自白のなされた事実については証明不要としてその後の訴訟進行を図るものであり、真実発見の要請とともに求められる審理の混乱、遅延の防止という合目的的訴訟運営の要請から、右自白の撤回は、相手方の同意が得られる場合を除き、真実に反し、かつ、錯誤に出たことが証明されたときに限り許されるものと解される。

これを本件についてみると、前記認定事実によれば、控訴人の原審における本件事業所得金額についての自白は、控訴人において当初は広島更科の事業所得の帰属者とともに本件事業所得金額についても争う態度をとっていながら、右所得金額についての具体的主張をなさず、原審裁判所の釈明により、右事業所得の帰属者についてのみ争い、所得金額は争わない旨口頭弁論期日において明言したものであること、原審での訴訟代理人である中場弁護士は、受任後六か月余を経て、右自白の陳述をしており、この間、本件訴訟の進行についての控訴人との打合せは十分できたものとみられること、控訴人側では、右自白後、四年余の原審での審理期間中、本件事業所得について争う趣旨の具体的主張、立証を一切していないことなどの事情が窺え、これらの事情に鑑みると、控訴人の原審での右自白が事実認識の誤り、すなわち、錯誤に基づきなされたものであるとは到底認め難いといわざるを得ない。

この点、当審における控訴人本人尋問(第一回)の結果中には、原審において中場弁護士が本件事業所得金額を争わないと陳述したことを控訴人本人は全く知らなかった旨の供述部分があるが、前記認定事情に照らして信用できず、本件全証拠によるも、前記自白が錯誤に基づきなされたものであることを認めるに足りる証拠はない。

なお、控訴人は、真実発見の要請が強く、課税者側に強力な調査権限がある税務訴訟においては、自白の撤回は自由に許されてよく、少なくとも、自白事実の反真実を証明させれば十分である旨主張するが、行政訴訟においても、通常の民事訴訟と同様に裁判上の自白の拘束力の適用があることは、行政事件訴訟法七条の趣旨から明らかであり、右主張は採用することができない。

また、控訴人は、自白された事実が真実でないとの証明がある場合には、特段の事情がない限り、錯誤に出たものと推定すべきであり、本件においては、控訴人が真実に反する本件事業所得金額を自白するについての特段の事情は見当たらない旨主張するが、右の推定の法理は、本件のように、自白のなされた前後の事情等からして錯誤に出たものとは認め難いことが明らかである場合にまで、適用されるものではないというべきである。(そうでなければ、一旦なされた自白について、撤回の意思表示があれば、常に反真実の証明に立ち入ることが必要となり、それでは、自白の撤回を制限した訴訟の合目的的運営の要請に著しく反する結果になる。)

以上により、本件更正処分等の基礎となった本件事業所得金額については、原審において控訴人の自白が成立しており、当審における右自白の撤回は、右自白が錯誤に出たものとは到底認め難いことから、許されないものであるというべきである。

三  以上の次第で、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当である。

よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山田忠治 裁判官 佐藤武彦 裁判官 難波孝一)

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